大阪高等裁判所 昭和47年(ラ)16号 決定 1972年2月21日
抗告人 中島恒雄
主文
原決定を取消す。
本件競落を許さない。
理由
一、本件抗告の趣旨と理由は別紙記載のとおりである。
二、当裁判所の判断
競売法により準用せられる民訴法第六八八条第五項に、「再競売をなすときは、前の競落人は競買に加わることを許さない。」とある再競売とは、その再競売期日に於て許すべき競買価額の申出がないため、裁判所が、最低競売価額を相当に低減して定めた新競売期日の新競売をも含むものと解すべきものである。
一件記録によれば、本件不動産競売で最高価競買申出をしたとして、昭和四六年一二月七日、原審が競落許可決定をした日本土地株式会社は、昭和四六年二月一六日原審で本件不動産競売につき、最高価競買人として競落許可決定を受け、右決定が確定したのに、その代金支払期日に代金を支払わなかつたこと、そこで、原審は、職権で目的不動産の再競売を命じたが、その再競売期日たる昭和四六年一〇月六日に競買申出人がなかつたので、最低競売価額を相当に低減して新競売期日(昭和四六年一二月一日)を定めたところ、右期日に、抗告人その他の競買申出人があつたのに、担当執行官は、違法にも右日本土地株式会社が競買に加わることを許した上、同会社を最高価競買人と定めて競売を終局し、原審は、前記のとおり昭和四六年一二月七日、右日本土地株式会社に対し競落許可決定をしたものであることが認められるから、右決定は違法であり、取消を免れない。
よつて、原決定を取消し、本件競落を許さないことにし、主文のとおり決定する。
(裁判官 長瀬清澄 岡部重信 藪田康雄)
(別紙)
抗告の趣旨
原決定を取消し更に相当の裁判を求める
抗告の理由
本件競売不動産に係る今回の競落人である日本土地株式会社は前回に於ける競落人である。
仍つて抗告人は原決定を取消し更に相当の裁判を求める次第である。